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執筆者の写真くどう まやか

愛犬の「誤飲」、どうやって治したらいいの?理由と改善策

更新日:6月12日




こんにちは!大阪市福島区にある犬の幼稚園oluolu dog schoolの工藤です。

物を壊して飲み込んだり、落ちているものを慌ててくわえて飲み込んだり…

こういった「誤飲」のお悩みは、飼い主が困るだけではなくワンちゃんにとっても不幸なお悩みです。

誤飲に悩まれているケースの中には、とろうとするとうなって怒るといった行動もたびたびみられます。


今回は誤飲について、理由と改善策を解説していきます!


もくじ


誤飲する理由





仔犬の時期はなんでも口に入れたり、壊したがったりするものです。

そこから誤飲が定着する理由の9割は飼い主さんのリアクションによって強化(行動が増えること)されていることが原因です。


なんでも誤飲したり、ものを壊すことに執着している場合、

食べちゃいけないものを口に入れるたびに、慌ててすっ飛んで行ったり、口を無理やり開けて取り上げたり…

あるいは、壊したり誤飲したりするのを恐れてオモチャ遊びなどを過度に制限したり。

と飼い主さんが何かしらリアクションを繰り返しているケースがほとんどです。


誤飲のきっかけ


①好奇心


前述したとおり、仔犬の時期はなんでもあれなんだろうこれなんだろうと口にいれてしまうことがほとんどです。

人間の赤ちゃんと一緒ですね。

生き物として正常な行動といえるでしょう。お散歩デビューして、草や枝などをくわえるのも同じです。

大人になっても、暇だな~と思うと落ちているものを咥えることがあります。


②歯の生え変わり



同じようにこれも仔犬の時期に現れる理由です。

歯の生え変わりは口の中に違和感があったり、かゆみを覚えてものを噛むことがあります。


③本能

そもそもイヌという生き物は、オオカミからイエイヌに進化しても「食べ物を噛んで引きちぎる」「ものをくわえて運ぶ・振り回す」といった本能を引き継いでいます

それは、オオカミとは似ても似つかない小さなチワワもプードルも変わらず持っています。

また、レトリーバーやプードル、ダックスなど、狩猟犬として確立された犬種はさらにそういった本能を強く持ち、体力も多く、非常にパワフルなエネルギーを持っています。


現代、室内で暮らしている犬たちはそういった本来持っている本能やエネルギーを発散するすべが少なく、手が届くもので発散をしているだけにすぎません


改善方法


それでは、誤飲を防ぐための改善方法をご紹介していきます。

ここで注意していただきたいのが、見境なくものを壊し、綿や紙くずなどを慌てて飲み込む、それが10回中10回行われるほど執着している場合はむやみに試さず、すぐに行動診療やドッグトレーナーに相談しましょう。


①まずはワンちゃんの学習理論を知る




・限定的でたまにしかもらえない、あるいは変動制のあるものに非常に魅力を感じる
・逆に、いつでも手に入るものや、飽きるまで遊ぶものは魅力が下がる

ワンちゃんは、こういった素質を持っています。


ワンちゃんに限らず、学習と行動を繰り返す生き物は同じ素質を持っていて、人間でいうとギャンブルやくじなんかは「限定的」「変動制」にあたります。次はあたるかも、もう一回だけやったら…という気持ちで挑みます。たまに得られる「当たり」が最高の強化子(行動が増える要因)となるわけです。


また、たとえば大好物のケーキがあったとします。でも、それが毎日毎食ケーキを食べる生活をしていたらどうでしょうか。多くの人間は、「飽き」を感じたり、ケーキの価値が下がるものです。

特定のものを大好きすぎて毎日食べていたら飽きて全く食べなくなった…なんてことはよくありますよね。


②好きなだけ噛ませる・壊させる・発散させる



そもそもものを噛む・壊すということは犬が本来持っている行動だと前述しました。

元々持っているものを抑制し、さらには限定的で変動制を与えると、犬はより噛んで壊すことに執着しますし、常に発散不足の状態です。

発散不足なら散歩をすればいいというわけではなく、全く別の方向性の発散なのです。


「噛んではいけない」「こわしてはいけない」というのはあくまで人間の都合であり、イヌが本来もっている行動を抑制しているだけなのです。

抑制されることで、ワンちゃんたちは「とられたくない」という思いが芽生えたり、隙あらば噛んで壊そうという思考に至ります。

だから逆に、満足するまで噛ませたり、壊されたりするというのが一番根本的な解決につながります。


②ー1 噛んでもいいもの、壊してもいいものを存分に与える





カミカミオモチャやガムなどを与えるのが最も多く使われている方法です。

ただのガムだけだと足りない場合は、犬用の木の棒などでもOKです。


しかし、ガムやカミカミオモチャはあくまで「噛む」という行動に特化しているので、「引きちぎれるもの」「壊している感覚があるもの」を愛犬が求めている場合は、思い切って壊させるのも一つ。

今は百均にもワンちゃん用のオモチャがたくさんありますので、これでもかというくらいおもちゃをあたえて存分に壊してもらう。

あるいは、段ボールや紙など壊してもなんともないものを与える。

おそうじは大変ですが、大切なものを噛まれたり、家具をぐちゃぐちゃにされるよりはずっとマシですよね。


綿などもどんどん飲み込んでしまう場合は、少々飲み込んでも害が少ない木や段ボールあたりがよいでしょう。

掃除は大変かもしれませんが、「噛んでほしくないものがある」ということを犬に譲ってもらうのなら、こちらも何か譲らなければなりませんね。


②ー2 運動以外の発散方法を提示する


ノーズワークが最も手近な発散として知られている手法です。

噛む・壊すといった本能の他に、嗅ぐ・探すという行動も大切な本能の一つですので、毎日ノーズワークをしてもらうというのもよいでしょう。

また、お散歩もアスファルトの道を淡々と歩くよりも、落ち葉や草地などの広い敷地を眺めのリードで散策させたほうが五感を使って探索するので気持ちの発散につながります。


③リアクションによって強化しない(無視する)


よくあるのが、オモチャで一人で遊んでいるときには特に何も言われないけど、靴下やコードをかじったときだけ飼い主が慌てて飛んでくる…というケース。

これは「靴下やコードをかじったら、構ってもらえる」という学習につながりますし、当然オモチャよりも靴下の方が魅力が高くなります。


そもそも美味しくないものを故意的に飲むという行動を最初からすることはありません。

くちゃくちゃ口に含んでいる間に思わず飲み込むことはあっても、意図的にゴクン!と飲み込むのは飼い主のリアクションによって強化される以外ありません。


また、口を開けて取り上げる、殴ったりたたいたり痛みを与えて口から離させる、怒るなどのリアクションを頻繁に行うことは絶対にやってはいけません

慌てて飲み込むようになったり、最悪の場合その物を守って攻撃行動(うなる、噛む)をとることがあります。


飲み込んだら絶対に健康を害するようなものを咥えてしまったとき、やむを得ず口を開けてしまうことはあるでしょう。

やむを得ずたまの1回が起こってしまったら犬の口が届くところに加えられて困るものをおかない、どうしてもおかなければならない場合は囲いをするなどして対策をする、散らかっているときはハウスにいてもらうなど、「失敗させない」ことが大切です


また、①で述べた変動制・限定的という観点でも同様で、飽きるまで与えられたものと、楽しんでいる最中にとられたものだと、後者の方がより執着が増します

②の発散をしっかりさせたうえで、噛まれて困るものは手の届くところに置かないこと。もしも噛んでしまったら、極力リアクションしないことが大切です。


④ちょうだいを教えておく





これはあくまでその場しのぎですが、万が一、絶対に噛んでほしくないものを咥えたときのために、口から物をはなすことを教えておきましょう。

「ちょうだい」と言われたら毎回ものを取り上げられる、と思うとこれも慌てて飲みこんだり、守って怒るようになることがあります。


手で持ったまま与える⇒「ちょうだい」⇒口から離すまでまつ⇒離したらご褒美をばらまく

まずはこれを普段の生活の中で複数回練習しておきましょう。

このときのご褒美は、加えているものよりも圧倒的な魅力があるもので、一つよりは数粒ばらまくのがよいでしょう。

毎回取り上げて終わらず、何回か行うことが大切です。


しかしこれは根本的な解決にはなりませんので、緊急手段として使ってください。


ビターアップルの使い方



余談ですが、誤飲やものを壊すワンちゃんのトレーニングとして「ビターアップル」を振りかけるという手法があります。

ビターアップルは、リンゴの苦み成分を抽出したスプレーで、ワンちゃんがものを噛んだ時に「苦くてやめる」というもの。天然成分を使用しているので、舐めても健康に害がないというのが特徴です。


ビターアップルの正しい使い方は、ワンちゃんが噛んだら苦みがした、という「犬・もの」の関係で学習させることです。

噛んでいる途中に振りかけるのはその場しのぎにしかならず、あまり意味がありません。

また、あくまで「苦い」だけなので、慣れてくると噛むのをやめなくなります。揮発性が高い製品なので、頻繁に振りかけておかないと苦くないというのもおさえておきたいところです。


重度な誤飲癖がある場合はすぐにプロに相談を


ちょっと口に含んでくちゃくちゃしているうちに飲み込んじゃった…というレベルではなく、明らかに意図的にかつ健康を害するほど飲み込むくらい誤飲するワンちゃんの場合は、今回紹介した方法をやみくもに実践せず、早急にドッグスクールなどに相談してプロのトレーナー監修のもと改善していきましょう。


ステップアップを小分けにしてワンちゃんに順々に教えないと、失敗してしまう可能性があります。

すでにくわえたものをとろうとすると激しい攻撃行動をとる場合も同様です。


冒頭で述べた通り、誤飲の9割はリアクションによって強化されます。強化された履歴が長ければ長いほど改善するのが困難になりますので、早急に手を打ちましょう。



まとめ


いかがでしたか?

本来、石や綿など食べてもおいしくないものを意図的に飲み込むというのは、自然界の中では異常な行動です

人間社会で生きていく上で、何かが抑制された、あるいは飲むことを強化された結果であることがほとんどだということを覚えておきましょう。


oluoluでももちろん、誤飲に関するトレーニング方法をご提案しています。

ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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